最終更新日:2021年07月12日

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フライス加工用の
切削計算アプリ
「ミリングマニアック」の
各計算機能の使い道まとめ

普通の切削加工計算用アプリにはない計算機能を色々追加しているので,各機能が何のためにあるのかについて,以下に示します.

計算機能の概要:

- 加工解析

  1. 切削条件
    切削条件を定めるときには加工能率は生産性において重要ですが,それだけを指標にすると切削加工が成り立ちません.
    例えば,振動の問題としては,切刃通過周波数が加工系を励起する周波数として重要であり,びびり振動などに影響します.それが計算できます.
    切削加工中に何らかの測定を行うときには,サンプリング周波数との関係で,工具一回転中に測定点がいくつできるかが重要です.
    この計算機能ではこれらの数値が計算できます.

  2. 多角形と円形チップでの実切り取り厚さと同時作用刃数
    主軸トルクの上限の検討に必要なトルクの計算や,工具一回転中の切削抵抗変動予測ができます.
    工具一回転中の切削抵抗変動が一定になるように,工具や切込み量を調整すると,加工精度や工具寿命の改善が見込まれます.

  3. Colwell則に基づいた切りくず流出方向
    すくい面上での擦過痕観察に使います.
    特に使わなくても軸方向切込み量がわかってれば流出方向くらいはわかります.

  4. 主切れ刃のすくい角と無視したTrue RakeとInclination Angle
    アプローチ角があると,半径方向すくい角との関係で,Inclination angleが大きく変動して切りくず排出に影響するので,そこらへんが計算できます.

  5. 傾斜角とヘリカル加工
    刃先形状を確認することで,傾斜加工やヘリカル加工が,どのくらいの寸法範囲で実施できるのかを判断できます.

  6. 傾斜切削時の寸法と角度
    三角関数を計算しているだけです.

  7. ヒーリング
    昔の工作機械だと主軸自体を傾けていたそうですが,今は5軸加工機があるので,ヒーリングはしやすいと思います.
    これを使って,正面フライス加工で曲面を形成することも可能だと思います.

  8. 難削指数
    適当にインターネット上で物性値を調べた値を入力することにより,難削指数が計算できるので,物性値のどの特性が原因で削りにくいのかがわかります.
    それがわかれば,どうやって削ればいいのかといった対策を打つのもやり易くなると思います.

  9. 刃振れ解析
    刃先位置の測定結果の最大値と最小値を刃振れとして見ていては意味がないです.
    隣接する刃先間での相対変位に意味があるので,それが計算できます.
    あとは副切れ刃の長さを考慮した数値も計算でき,これは面粗さに影響します.
    刃振れの測定結果を真に活用するための計算ができます.

  10. 鉄のテンパカラー
    何色のときに酸化膜が厚いのかがなかなか覚えられないので,その参照に使えます.
    これを見て切削熱の高低を判断し,切削速度の調整などを行うことも可能だと思います.

  11. カタログ推奨切削条件の推定(試用版)
    推奨加工条件を確認するためにカタログを開くのがめんどくさかったこと.
    推奨加工条件がそのまま使えるわけでもないこと.
    カタログに刃先諸元が全て載っているわけでもないこと.
    以上3点を踏まえても,カタログに記載されている数値に何か使い道がないかなぁと思い,とりあえず,それらを参考にした計算機能を作りました.

- 振動解析

  1. 丸棒片持ち梁の固有振動数と剛性
    主軸を含めたり,ツールホルダを含めた状態での,工具剛性や振動特性の参考値を計算することができます.
    これによって突き出し量による固有振動数や剛性への影響を定量化することができます.
    特に,二段段付き丸棒として計算できる機能は,他にはないと思います.
    これらの計算結果と,スペクトルを比較すると面白いと思います.
    スペクトルの取得には,例えば音にFFT処理をかけてくれるような適当なアプリを使うといいです.

  2. 1自由度振動系の周波数応答
    モード質量,モード剛性,モード減衰を入力すると,周波数応答が計算できます.
    固有振動数と減衰比から計算することもできます.
    根本的な問題として,減衰の測定が難しいので使いにくい機能だと思います.

  3. 動バランス
    動バランスの目標値で生じうる遠心力の計算や,動バランス修正のために必要な付加質量の計算ができます.

  4. 可変質量によるバランシングの評価
    もし動バランスを自分で修正したいというときに,釣り合いをとるための構造を設計するときに使えます.

- 単位変換

  1. 変換計算:米国慣用単位系とSI単位系
    頭の中で変換が難しい米国単位への変換ができます.
    SFMやIPTが入っているので,米国の現場での使い勝手もいいと思います.

  2. 変換表:インチとミリ
    基本的なインチ変換は,この表を見たほうがわかりやすいと思います.
    とくに分数表記はわかりにくいです.

  3. 変換計算:角度
    度分秒は,通常の角度表記に換算するのがわかりにくいので,それができます.
    ついでにラジアンにも変換できます.

  4. 鉄鋼材料の硬さの理論換算
    世の中にたくさんある硬さの単位同士の理論変換をしています.
    ほぼ趣味で作成した機能なので,誤差が多少出るところもあります.

- その他

  1. 問題の対策一覧
    切削加工でよくある問題について,修正すべき変数と,その理由を併記しています.

  2. 推奨締結トルク範囲:スクリューオン方式
    スローアウェイチップを固定するねじの締結トルクについてカタログを調査した結果を載せています.
    あと,締結トルクと軸力の関係性が計算できます.

  3. 注意事項
    アプリの注意事項や操作方法,公式WEBサイトへのリンクです.